できごと:

 新年おめでとうございます。賀状の一つに「いろいろあってあたりまえなのです」というのがありました。今年もいろいろありそうですね。受験生諸君は自分以上に見せようとする時、人は緊張するということを踏まえて、雪の女王のようにありのままの自分を見せるのよという感じで日頃の自分を鍛えることに重点を置いてください。そうは言っても試験時間にゆっくり考えている時間はないので、はったり(そうにちがいないという直観に思いっきり賭けて)というか勢いが必要です。十五の春と言いますが日本社会の二重構造からいうと高校でかなり進路がふるい分けられることを一応知っておいて、たまに緊張に自分をさらすのは良い試練だと考えてこの機会を利用してください。

論評:
 高校三年生との最後の授業の時、時間を計ってセンター試験の数学の問題を自分も生徒さんと一緒になって解いてみると時間内に解けない。生徒さんが何度も何度もちらっ、ちらっと時計を見るので余計焦る。結局60点ぐらいだったでしょうか。この体験で生徒さんの置かれているシビアな状況がよ~くわかりました。ゆっくり時間をかけてああでもないこうでもないと考えて解くのなら当方得意なのですが時間を12分とか15分とか限られてその時間内に一問解くというのは、また別の作業・テクニックです。なんちゅうこっちゃと思ってしまいましたが同じ思いは当局にもあるようで2020年度あたりからセンター試験は廃止ということになっています。そこで下村大臣のインタビュー記事をインターネットから。  

1つの価値観に縛られたままの大学入試

――1つめの理由にあった「日本の若者の強い自己否定感」ですが、これは日本の教育が抱える問題の象徴でもあるかと思います。なぜ、そうした高校生が増えてしまったのか。大臣が掲げる教育改革では、これに対してどのようにアプローチしようとしているのでしょうか。

下村?そうした高校生を生み出してしまった典型的な原因が、「大学入試制度」にあると私は考えています。つまり、偏差値という1つのモノサシだけでやってきてしまったことがその根本にあります。もちろん、いまは多様な入試にチャレンジしている大学もありますが、基本的には、暗記や記憶といったいわゆる知識詰め込み型の学力で合否が決まるところがほとんどです。それは高校生から見れば、やはりどうしても受験勉強という1つの価値観に縛られてしまう。それ以外の多様な面を評価される機会がなかなかないのです。

?しかし、グローバル化が進んだいま、実社会では1つの価値観だけに縛られる時代はとっくに終わりを迎えていて、むしろ多様性が重視される社会にシフトし始めています。にもかかわらず、日本の教育現場、とくに大学入試の場面においては、いまだ1つの価値観に縛られた状態が続いています。そうした実社会と教育現場のギャップに対し、大学受験に向かう高校生たちはある種の息苦しさのようなものを感じているのではないか。それが強い自己否定感につながっているのではないか、と思うのです。

?ですから私は、自分に可能性があると誰もが感じられる社会にしていくためには、多様な価値観というものを教育のなかにどう取り込んでいくかにかかっていると思っています。その多様な価値観を取り込むための1つが、いま推し進めている大学入試制度改革です。具体的には、これまでのセンター試験を廃止し、継続的な学習と課外活動の成果、つまり総合力を評価する入学試験に変えようとしています。一定の学力に加え、それぞれの個性や能力もきちんと評価される入試制度にしなければなりません。

教育に対する親の意識を変えるには?

――教育現場にもそうした多様性が問われる時代になったにもかかわらず、しかしその一方で、われわれ親世代の価値観は多様化できていない、という現実があります。東大を頂点とした良い大学に行かせたい。そのためには小さい頃から塾に入れて、良い小学校、良い中学校、良い高校をめざすというのが、ある意味スタンダードです。だからこそ、親の意識を変えることも重要な気がするのですが。

下村?親の意識を変える一番の近道は、「大学が変わる」ことだと思うのです。もちろん、東大が日本の大学の頂点であることは否定しません。東大にはこれからも日本のトップ大学であってほしいし、むしろ世界のトップをめざしてほしい。しかしそのためには、いまの入試制度でいいのかというと、決してそうではありません。世界でトップクラスの人材を育てるためには、学力だけでは通用しないのは言うまでもありません。ほかにも多様な能力が求められます。私はそのなかでも最も重要なのが、次の3つだと考えています。

 

?1つめは、「課題解決の能力」です。受け身や指示待ちではなく、主体的にその能力を発揮できることです。それから2つめは、「クリエイティブな企画能力」です。例えば、東大の文系はかつて優秀な官僚を養成する大学だったわけですが、その官僚においても、いまやクリエイティブな能力が求められてきています。ただ指示されたことだけをやっている官僚は、もはや使いものになりませんから。そして最後の3つめは、「人間的な魅力」です。人を思いやる優しさや慈しみの心、また、新しいものや多様なものを受け入れることができる姿勢など、そうした人間としての度量や魅力を持ち合わせていく必要があります。?

?しかし、こうした3つの能力は、現状の入試制度ではほとんど問われることはありません。でも社会がグローバル化したいま、日本の経済成長を支える一人ひとりの生産性を上げるためにも、東大に限らず多くの大学で、こうした3つの能力を含む、総合的な能力を持った人材を育てることが重要です。だからこそ時代に合わせて入試のあり方を大きく変え、それぞれの大学が自分たちの強みを生かした多様な教育をしてほしい。そうすることで21世紀に通用する力強い人材を輩出してくれると思うのです。

今回下村大臣インタビュー引用がながくなってしまいましたのでエピソード、塾長の自由研究欄はお休みいたします。


親御さんの声

  毎回期末に基本的な問題の確かめをして頂けたらうれしいです。

 

 彼女が持参した問題集の一ページを自分でも時間を計ってやってみました。これはこれで解ける解けないということとは別の、能率よく手際よく大量のデータを片づけるというおもしろい挑戦だと気がつきました。現行試験勇者にはこの処理能力勇者が多いのですが、そして当方その方向にはあまり賛成ではないのですが、やってみると結構おもしろかったので困ってしまいます。

生徒さんの声

 たしかめをして、予習ふく習をもっとがんばりたいです!以上

                           H.A


  今度、君が一ページっ問題を解き、それから僕が一ぺージ問題を解き、時間を計ってみましょう。