少し寒くなってきました、いかがお過ごしでしょうか?

中間試験は終わりましたが、こちらが感じている総合的な感じでは生徒さんたちは確かに一科目ぐらいは成績が上がっていますが、悪い、しかもかなり悪い科目が見られるということです。不徳の致すところですといいますか、配慮の届いていないところがあるのですよね、きっと。直接試験に出る問題をやらないとなかなか成績が上がらない。しかし塾では日頃はスポーツトレーニングで言えば筋肉トレーニングのような基礎脳力をつけるような問題、具体的には中学生については過去の中教研試験の過去問を解いていて、試験直前に試験範囲の問題を解くことが多い。また、ある生徒さんの場合、今度は英語ばかりに力を入れると数学が下がりだす。何か微妙なエンジンの調整をしているような気分になります。整備士(当方)のやり方が少し荒っぽいのかもしれません。そんな整備士ではありますが、長年おつきあいしてきた生徒さんに学力上昇の手応えを感じているのですが。結局ローマは一日にして成らず、辛抱、がんばり、継続は不可欠な要素の一つですね。と、そこに逃げてはいけないのですね。現代は簡単に早く成績が上がることを求められる時代ですから。しかし、しかし言ってはいけないのですが現代の生徒さんに一言文句を言わせてもらえるならば、言ったことをそっくり覚えて、そしてそれを書き写そうとする。それが覚えるということの基本かもしれませんが、また考え出すと切りがないという面も確かにあるのですが「切れ」ばかり求めて「こく」がないといいますか。ちなみに辞書で「こく」を引くと「味わい深いこと、(例)こくのある酒」と出ています。生徒さんは毎日の競争に追われているのでしょうね、きっと。自分の感じ方をしっかり持って自分というお酒のこくをだすために経験を積んでください。

                            泉田 ☆

 

 私は仕事がら、昼間に運転することも多々あります。そうした際、ラジオを聴いています。例えばスポーツ観戦に関しても、夜はテレビで見ることもありますが、昼間はラジオの方が圧倒的に多いです。そして何より、ラジオでの観戦が好きです。目から余計な情報が入って来ないで、それぞれの状況をアナウンサーが伝えた内容から勝手に、自分に都合よく描いて、自分の好きな選手を頭の中で過度に引き立てることができるからです。ニュースのような番組は事実を冷静に判断する必要がありますが、娯楽番組は勝手に想像することは大いに楽しんでいいと思います。

 特に好きな番組をひとつ取り上げると、NHKで土曜日の朝に放送される「ラジオ文芸館」です。これはひとつの物語や小説を一人のアナウンサーが朗読するものです。効果音を最低限にしてアナウンサーの語りだけでストーリーが展開していくのですが、この言葉から場面の展開が視聴者に委ねられることになります。目の前に絵がありませんので、聴く方で場面を想像していくしかないのですが、それは聞き手にとって勝手に想像できる、という都合のよい面もあります。朗読するアナウンサーはいつも一緒ではないのですが、NHKのアナウンサーは概して過度に表現することなく、かなり客観的で品があって、変に色付けしませんから特にいいです。変に面白く聴かせようとしたら、聴く方は却って煩く感じるものです。

 7月に高周波文化ホールで上演会を行った「ドンブラコ」ですが、演技することなく歌と語りだけで聴衆を魅了しました。この時に行われたスタイルは、「演奏会形式のオペラ」というものです。通常オペラは日本語で「歌劇」というように、歌の入った演劇のことなのですが、その為には大がかりな舞台仕掛けや衣装など出演者以外にも多くのスタッフが必要とします。ですから劇団でなくてはなかなかできないものです。合唱団では最低限の設備でやろうと思えばできるのですが、彼女らの持ち味は美しい歌声なので、それを前面に出すことで演奏会形式に割り切って演奏することにしました。大がかりな衣装をせず、配役に関係のないよそ行き感覚の服装。そして語りは努めて上品に、桃太郎と婆さんのやりとりなどもお互い相手を見ずにお客に向かって語りかけていきました。そうしたことが聴衆の主観に見事に訴えかけたのだと思います。聴衆のみなさんはこれまで体験したことのなかった驚きとともに、帰路に向かわれました。

                              中川 ☆